山上綾のいる風景

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お客様が寛げる空間を精一杯提供させていただく。 それが此処『five bar』のテーマで、そのために僕も含めたスタッフは各々が考え、そしてそのおもてなしを実行している。 一応それがタテマエ。 本音は多分みんなそれぞれあると思う。 とにかくお金のためという人や、女性のお客様から注目されたいだけの人。 それから、僕もそうだけど技術を磨きたいために働いてる人。 本当にお客様命で動くのは、多分ホールを忙しく動き回ってる三条さんくらい。 ただ、そんな思惑はどうであれ、その結果の行動は変わらない。 如何にお客様に貢献できるかで、各々の希望が叶うか叶わないかが決まってくるのだから。 だから僕は、望まれたなら会話のお相手はさせていただくし、要らぬお節介ならばそれ以上詮索しない。 空気を読むのも訓練。 僕は、ボトルを傾けザクロのジュースを注ぐ。
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