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「ええ、そうなんです、藤堂君にうちの娘をと話していたんですよ。なぁ、藤堂くん」
バンバンと俺の肩を叩きながら、照れ臭そうに、愉快そうに話すあたり、やはりいただけない。
「専務の椅子で結婚を迫ったそうじゃないか」
社長はため息を吐きつつ、専務に鋭い視線を投げた。
「え、あ、いや……」
言い当てられた専務は返す言葉がなくて慌てふためいている。
しばらく2人のやり取りを黙って見守る。
「良い機会だから言っておくが、君に人事権を任せた覚えはないし、私の甥にそんな手を使うなどもっての他だ」
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