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専務は無言で深々と頭を下げ、社長室を出ていった。
「社長」
「海翔、そろそろ他人行儀な呼び方はよしてくれ」
穏やかな表情で社長はコーヒーに手を伸ばした。
「叔父さん、約束まで後半年ですが、少し早めていただけませんか?」
「そうだな、さっき雅樹君もそれを言いに来たよ。それから、約束通り気に入った部下を連れていくといい」
もうその顔は社長としてのそれではなく、可愛い甥っ子を見つめる叔父でしかない。
「ありがとうございます。今の仕事が終わり次第、父の会社に移ります」
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