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よく死ぬ夢を見る。
「よく見る」といっても、そもそも夢自体そんなに見ないけど。
バリエーションが豊富で、影のようなモノに永遠と追い掛けられたり、いきなり自動車に刎ねられたり、ヤのつく人達に絡まれたりするので、全然飽き飽きしない。
共通しているのは、起きる間際に死ぬということだ。
そんな夢の世界でコンテニューを繰り返す自殺志願者も、そう簡単に現実では死んだりしない。
今、こうして頭を回転させていることから分かる通り、自殺志願者は実はまだこの十三年間生きてきて死んだことがない。
死の瞬間はひどく鮮明にイメージできるけれど、死後の世界のことはよく知らない。
自殺志願者は案外安易に死んでしまうんじゃないかなあ、と前から常々思っていたのだけれど、死亡する気配は微塵も感じられないのだ。
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