0人が本棚に入れています
本棚に追加
「…!?」先程の蜘蛛がのそりのそりと俺に向かって歩いてくる。生暖かい息が俺にも届くぐらい。紅い目に鋭い牙がちらついて見える。
俺は踵を返し咄嗟に逃げた。後ろには蜘蛛がいる。俺は観覧車の近くだったので差を付けながら観覧車に乗り込んだ。ガラスから外を見るとだんだんと蜘蛛から遠ざかっていき、蜘蛛は諦めたように何処かへ行ってしまった。
「…はぁ…疲れた 。」とため息混じりに言った。
「あいつに捕まったらお終いか…………!?」外を見ていたら屋台の屋根に死体が乗っていた。うつ伏せで倒れている。小さな蜘蛛が人を覆い尽くし、蜘蛛をよく見ると肌色の異物を食べていた「…人の体を喰うのか……?」外を見て言っていると、誰もいない後ろから「毒蜘に喰われ魂は消えゆく…」と聞こえてきた、後ろをゆっくりと振り向くと赤い髪の毛のネコミミで目を包帯で隠している。10~12ぐらいの男の子が立っていた。
「…誰だ?」と汗をかきながら訪ねると、男の子は俺の上着のポケットを指した。
「ポケット?…あれ…俺の鍵に付いてた猫の人形がない…」いつも付いているキーホルダーが無い。猫で赤色、眼の色は覚えていないが、包帯をかけていた。怖かったからしてたんだっけな?
「…僕は紅銀(あかがね)君なら分かるでしょう?」と薄い笑みを浮かべる。猫のキーホルダーに付けた名前と一緒だった。
「…俺のキーホルダー…?紅銀?」と聞くと「そう僕は君のキーホルダーの猫。」と返された。
「…ここは何処だ?あの気味悪い蜘蛛はなんだ?」と混乱していたので、二つの質問を出してしまった。紅銀に分からないと思うのに質問してしまった。
「ここは本の中。『月と兎と蜘蛛』と言う絵本の中。君は本の中の主人公。君の友達は君の、主人公の仲間。あの蜘蛛は毒蜘の毒鈴(どくりん)。毒鈴は君の敵。簡単に言うと君は主人公で勇者、毒鈴は魔王で敵。と言う事。」
最初のコメントを投稿しよう!