黒×紫

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紫side 俺の隣におる無表情のまま人を眺めるこいつ 実は俺の恋人やったりする それはええねんけどな 「なぁ」 「なんや」 顔の向きを変えずに素っ気なく返事するそいつ まずこういうとこが気に入らん 「こっち向けや」 「嫌や」 「なんでや」 「なんでもや」 理由が無いとこも腹立つ 「始めに言うた俺への注意事項覚えとる?」 「…んー…覚えてへん」 なんでやねん 絶対覚えとけ言うたぞ俺は 「その一」 「いきなりかい」 「いつもとちゃう髪型に気がつくこと」 「はぁ」 「その二」 「おん」 「ちゃんと靴まで見る事」 「おん」 これでもこだわってんねん ちゃんと意識してんねんで? …って 「ええな!?」 「お、おん」 ちゃんと聞いとるんかこいつは… 「なぁ」 「なんや」 「これ別に我が儘ちゃうぞ」 「はぁ?」 「我が儘ちゃうぞ!」 「はいはい」 こんな簡単な返事しかせぇへん こんなやつやったらいっそ別れたろーとか時々思うけど 完全に依存しとんはこっちやからできひん 人ごみを見飽きたんか携帯をいじりだすよこ 俺が期待してんのには気付いてない 「なーな、よこー」 「ん」 「なぁってば!」 「…ちょい待ち」 「…」 右手空いとるぐらい気付けやアホ。 これでも恋人同士なんやろ? 「お前さぁ」 「んー」 「俺誰やと思ってんねや」 「ヒナ」 「だぁ!そういう意味ちゃう!」 このやろ…もういやや! 今度は我が儘言うたろ! 「もー…なんか甘いん食いたい!」 「お前甘いの嫌いちゃうんか」 「関係ないわ!はよ食いたい!」 「…はいはい。買ってきますよ、お姫様ー」 「なっ……っもぉ!」 なんで変なとこでかっこええねんあいつは! そういうとこも腹立つ!…けど やっぱ好きで。
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