ジュピターの部屋

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 Leia(リーア) ――――――――――――― 「ん……」  とろんとした瞼を持ち上げ、開いた瞳で数回瞬きを繰り返してみる。  リーアの視界に白い天井が映った。  そして、身を包むふわりとした感触――身体を起こしてみて、その場所がベッドであることを確認したところで。  リーアは耳に届く波の音に気付いた。 「――――ここは……?」  ベッドから離れ、大きく開けた窓辺へと寄ってみて、絶句した。  茜雲の隙間から射し込むオレンジ色の光、沈みゆく夕陽が空と海との境界線をゆっくりと朱色に染め上げていく。    思わず窓を開け放ち、クリアな世界が開けると、潮風が海独特の肌寒さとどこか懐かしい郷愁を連れてくる。 「…………きれい」  リーアの瞳のサファイアの色彩も今だけはこの優美な黄昏色に染まっていることだろう。  グラーニの夕焼けも負けじ劣らずと言いたいところだが、もうずっとこのような美景を忘れていた感覚に陥っていた。  ふと、床に無造作に投げ出された布が目に入る。  青色の布の所々に白の斑点が染みを作っている。  そっと布を拾い上げて伸ばしてみて、気付く――それは逆なのだと。 「!! これ、――っ、ん……頭が痛…。  ――――パシりさん…っ!」  頭の中に懸かる靄が消えてゆく。  先程あったばかりの筈の出来事が鮮明に蘇ってくる。  広げたハイネックの生地には確かに背面部に突き破られた跡が残っていた。  ――ならば、答えは一つ。 「ここは……パシりさんの家なんだわ」
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