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マスミツ「よう、赤松」
彼は中学時代のクラスメイト赤松秀人(あかまつ ひでと)。
赤松もパワ○ロが好きでその縁でこうしてつるむことが多い友人だ。
赤松「どうせ、春休みはずっとパワ○ロ三昧だったんだろ?まあ俺も似たようなもんだが」
赤松は中2の秋までシニアの野球チームでピッチャーをしていた。
どうも、「まわりに上手い奴が多すぎて楽しくなくなった」
ので辞めたらしいが。
赤松とパワ○ロ談議に花を咲かせて15分ほど経った後、女子生徒に声をかけられた。
女子生徒「ちょっと、あんたどいてくれない?」
マスミツ「えっ?」
女子生徒「そこは私の席。間違って私の席に座らないでくれる?」
女子生徒が指をさして前側の黒板に貼られた座席表の方を注意深く見てみた。
確かに二列ほどずれて座っていた。
マスミツ「悪い、つい知り合いと話し込んでたもんだから。と言うか赤松お前の席もそこじゃないだろ」
赤松「いいじゃねぇか。適当に座ってたって」
こいつは中学時代から変わらず適当な男だ。
女子生徒「とにかく、益田君がそこをどいてくれれば私はそれでいいから」
マスミツ「ああ、すぐにどくよ」
そうして二列ずれて自分の席に座りなおした。赤松もついでに移動してきた。
マスミツ「というかなんで俺の名前知ってるの?」
女子生徒「別に。座席表見て悪びれる様子も無く座っていたから間違えて座っていたかバカかと思っただけよ」
マスミツ「バカって・・・」
女子生徒「悪いけど、私行くところがあるから」
そう言って会話を遮るように教室を去って行った。
赤松「すげぇ上から目線だったな。すぐにどっか行くんだったら別に注意しなくてもよかったんじゃねぇの?」
マスミツ「まあ嫌だったんじゃない?えっと、名前は・・・」
さっきの子から聞いてなかったな、と思いもう一度座席表を見た。
自分が間違って座っていた席には「向町」と書かれていた。
マスミツ「むかいまち、って読めばいいのかな」
赤松「ほう、結構珍しい名前だな。ん?向町ってそういやどっかで聞いたようなことが・・・」
男子生徒2「君たち、向町さんの知り合い?」
そう言って一人の気の優しそうな男子生徒が割り込んできた。
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