夏モグラ

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   次の日、空が明るくなってから大学の仲間を二人ほど攻撃表示で特殊召喚して機体の整備を手伝わせる。三叉堂の鴨汁を奢ることを条件にあっさり手伝ってくれた。  こうして彼女と一緒に尾翼の調整をしたりワイヤーの調子を確認していると、あの夏の合宿が思い出される。余りの暑さにアイスが蒸発していたような気がする。記憶は結構曖昧なものだ。  丸一日かけて何とか作業を終わらせる。むしろ一日で終わらせた自分の努力を褒め称えたい。  すぐにでも飛ぶことはできるのだが、辺りはもうほの暗い。きっと今日が彼女と過ごす最後の日になるのだろう。  決意はしていたが、結局僕に必要なのはほんの少しのきっかけと後押しだったのだろう。  彼女と思い出の場所を見て回るが、どこも変わり映えはしない。ただ学校に「祝 航空部全国大会出場」の垂れ幕が下がっているのを見たときはまあ変わるものだなと思った。  僕らの代が優勝するまでは存在すら認知されていなかったような部活だった。
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