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空が好きだ。
飛行機が好きだ。
グライダーが好きだ。
僕は今でも飛行機を作り、整備し、たまには自分でも空を飛ぶ。嫌なことがあっても、疲れても、空から世界を見下ろせば全てが小さくなってしまう。
夏は少し嫌いだ。
君がどれぐらい遠くにいるかは分からない。まだ会うべきじゃないんだろう。
そう信じて、僕はこの道を進んでいる。
いつか僕も夏を好きになるだろうか。
「わたしも、一緒に飛んでみたいです」
その日は、そんなに遠くないかもしれない。見守ってくれとは思わないから、君は君の好きな道を飛んで欲しい。
するりと生ぬるい風が頬を撫でる。また今年もこの季節がやってきた。
きっと僕は、あの夏を忘れない。君を忘れない。あの想いを忘れない。
突き抜ける青空を、一匹の飛行機が白い尾を引きながら飛んでいく。
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