‡ 10年前 ‡

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  私は、あまり大きいとは言えない目をめいっぱい見開いて、織人を凝視した。 つい2ヵ月前に『好きだ』と、『つきあって』と告白されて、1度だけ一緒に映画を観に行っただけの、にわか彼氏の顔を。 「あきら」 織人は、強い口調で私の名前を呼んだ。 「なに?」 「『約束』してほしいことがある」 「いいよ。なに?」 私はあいだをおかず返事をした。 「僕がもし、こっちに戻ってくることがあって……っていうか絶対戻ってくるつもりだけど。 そのとき、陽に彼氏いなかったら、また僕の彼女になってくれる?」 「いいよ」 「本当に!?」 「うん」 織人の表情がぱっと輝いた。 私はちょっといい気分になる。 「よかった! 『約束』したから。 忘れるなよ」 「わかった」 私は、軽くうなずいた。   ・
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