‡ 知りたい ‡

10/14
前へ
/34ページ
次へ
  「オレも昔はほんっと適当に遊んでたからな。 そんなもんかって思ったよ。 楽しくなくなったら別れる。 もっと楽しいはずの相手を探す。 それでまた楽しくなりゃいいと思ってた。 実際、別れることなんて屁でもなかった」 「彼女もそうだってこと?」 「オレなんか次の相手が見つかるまでの繋ぎだよ」 「どうしてそんなふうに考えるかな? 付き合ってた時は好きだったんでしょ? 真佑巳が選んだ相手でしょ? 彼女だった相手をそんな軽薄な女みたいに──」 「なんなんだよっ? おまえ、あいつの味方すんのか!?」 「なんで私が怒られるわけ? 単純に知りたいだけだよ! 好きだった相手をどうしてそんなふうに言えるのか」 「好きだと勘違いしてただけなんだよ! 本物の『好き』じゃなかったんだ。 それが──アキラと付き合ってみて解ったんだよっ!」 「…………」 あんぐりと口を開けたまま固まった。 それって──。 真佑巳が身体を伸ばして私の手を引いた。 強い力に逆らえず、前のめりに真佑巳の胸に顔から突っ込んでしまう。 「ぶっ──」 「……アキラに悪くてさ」 優しい声が降ってくる。   
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加