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「オレも昔はほんっと適当に遊んでたからな。
そんなもんかって思ったよ。
楽しくなくなったら別れる。
もっと楽しいはずの相手を探す。
それでまた楽しくなりゃいいと思ってた。
実際、別れることなんて屁でもなかった」
「彼女もそうだってこと?」
「オレなんか次の相手が見つかるまでの繋ぎだよ」
「どうしてそんなふうに考えるかな?
付き合ってた時は好きだったんでしょ?
真佑巳が選んだ相手でしょ?
彼女だった相手をそんな軽薄な女みたいに──」
「なんなんだよっ?
おまえ、あいつの味方すんのか!?」
「なんで私が怒られるわけ?
単純に知りたいだけだよ!
好きだった相手をどうしてそんなふうに言えるのか」
「好きだと勘違いしてただけなんだよ!
本物の『好き』じゃなかったんだ。
それが──アキラと付き合ってみて解ったんだよっ!」
「…………」
あんぐりと口を開けたまま固まった。
それって──。
真佑巳が身体を伸ばして私の手を引いた。
強い力に逆らえず、前のめりに真佑巳の胸に顔から突っ込んでしまう。
「ぶっ──」
「……アキラに悪くてさ」
優しい声が降ってくる。
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