9人が本棚に入れています
本棚に追加
『信じるよ』ってきっぱり言えない自分がもどかしい。
「……いいよ。
あんなことがあったのに、信じろなんて簡単に言ったオレが間違ってた。
今すぐ信じてくれなくていい。
これから付き合ってくあいだに、オレ、絶対信用回復してみせる──」
「違うよ!」
真佑巳があまりにも一途な目を向けるから、私は居たたまれなくなって大声をあげてしまった。
真佑巳が目を見開く。
「ごめん。真佑巳のせいじゃないんだ。
私自身の問題。
私ね……信じるってことがすごく怖いんだ……」
「……」
「裏切られてばかりだったから。
だから、真佑巳のせいじゃないんだよ……」
唇を噛んだ私の頭を、真佑巳は黙って撫でてくれる。
「聞いてくれる?
楽しい話じゃないんだけど」
「馬鹿……」
真佑巳は私の隣にぴったりくっついて「聞くよ」と言ってくれた。
「小学校5年の時だった───」
私は真佑巳の肩に頭をあずけて、ぽつぽつと話し始める。
最初のコメントを投稿しよう!