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結局その日、真佑巳からの連絡はなかった。
次の日も。
そして、クリスマスイヴの夜になった。
直子は渡部くんとムーディーな夜を過ごすと言って、さっきめいっぱいのお洒落をして出かけて行った。
出がけに『真佑巳くんに連絡入れてみなよ』と言ってくれた。
今日は確か真佑巳は通常勤だから、6時には仕事終わっているはず。
今、7時半。
少しずつ苛々がつのってくる。
「明日詳しく話すとか言うなよな。明日っていつだよまったく!」と毒づいてみる。
虚しい……。
8時になったら連絡してみよう。3日も待ったんだ。
──でも、なんかシャクだな。
そう思いながらカレーを温め始めた時だった。
テーブルに置いた携帯が鳴った。
──真佑巳だ。
早く出たいくせに、わざとゆっくりガスコンロのスイッチを止めてから通話ボタンを押した。
そして、素っ気なさを装って返事をする。
「はい」
『あ、アキラ?
わりぃ。ずっと連絡できなくて』
できなくて、じゃなくてしなかったんだろ!?って突っ込みたくなる。
やだな。
イヤな女になりそう。
絶対なりたくない女に。
「……珠希って人のトコに戻ったのかと思った」
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