‡ 知りたい ‡

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  「アキラの部屋、お初だな」 「二人の部屋だけどね」 「ふーん。こざっぱりしてる。いいじゃん」 真佑巳は居間をぐるりと見回して、ニッと笑う。 「二人ともそういう性格なんで」 「納得」 「適当に座って」 「おう」 自然に振る舞うのがしんどい。 この男、女の部屋に入るのも慣れてるんだな。 こっちはめちゃくちゃ息苦しいってのに。 カレーを温めて、卵があったから半熟の目玉焼きを作る。 卵は半熟にこだわる私は、じっとフライパンの前に陣取っていた。 「エプロンとかしないんか?」 「わ! びっくりした」 いつのまにか、真佑巳が横にぴったりくっついている。 「うまそう」 「どうかな。保証はしかねる」 ずるいよ、真佑巳。 普通じゃん。 連絡を待って悶々としていた私のあの重たいだけの時間を返してよね。 お皿にご飯をよそってカレーをかけ、目玉焼きをそろそろとカレーの上に乗せる。 「おぉ! 素晴らしい」 パチパチと拍手が起こる。 真佑巳はいそいそとお皿を運んで行きながら、「何でもいいから飲み物くださーい」と、こっちを振り返った。 なんかテンション高いな。 逆に不安なんだけど。  
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