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冷蔵庫から福神漬とニンニクの漬物と、クーラーポットを取り出す。
ウーロン茶はいつでも作ってある。
「いただきます!」
手を合わせて、真佑巳はカレーを頬張った。
「うん。美味い。
アキラの初手料理はカレーね。憶えとく」
「いいよ、忘れて。カレーなんか誰でも作れるし」
「ばっかだな。
アキラがオレと同じ材料とルーを使って同じように作ったって、絶対同じ味にはならないんだぜ?
これは、アキラのカレー。
美味いよ」
「ふうん……。そういうものか」
「そういうもの」
普通に感心してしまった。
そして素直に嬉しかった。
真佑巳のペースにすっかりはまってしまってる。
「はぁ。ごちそうさん。美味かった」
「ありがと。コーヒーいれようか?」
「あ、アキラのココアが飲みたい」
「へいへい」
お皿を片付けて、ココアを作り「どうぞ」と真佑巳に手渡す。
真佑巳はこの前みたいにカップに何度も息を吹きかけてから、ごくんと一口飲んだ。
「うーん。やっぱり美味いね」
「そう?」
「うん。ホッとする」
真佑巳は本当にほんわかした表情をした。
私の作ったココアが、真佑巳をこんな顔にできるんだ……。
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