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しばらく無言でココアを飲んでいた。
そのあいだ、私はちらちらと真佑巳の顔色をうかがう。
真佑巳の表情が少しずつ真剣なものになっていく。
私の鼓動が早くなる。
「アキラ……」
──きた。
おずおずと上目遣いに真佑巳を見た。
「オレ、どこまで話せばいい?
このあいだの女……その……珠希のこと。
どこから何をどう話せばいいのか考えてたら、どんどん解らなくなってさ。
つい電話しそびれた」
真佑巳は申し訳なさそうに眉を寄せてうつむく。
──どこまでって……。
そんなの考えてないし。
真佑巳から話してくれるもんだと思ってたんだから。
「アキラから聞いてくれ。
何でも答えるから」
「そんな。ずるいよ」
「だってさ、アキラが聞きたくないことまで話す必要はないだろ?
オレの中では終わったことだったし。
だから、アキラが知りたいことだけ聞いてくれ」
「……」
私が知りたいこと?
私は、真佑巳とあの珠希ってコの何を知りたいんだろう?
「……ちょっと待って。考えるから」
「いいよ。ゆっくりで」
真佑巳は乗り出していた身体を引いて、じっと私のことを見ていた。
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