‡ 知りたい ‡

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  真佑巳は基本的に優しい。 たぶん私より何倍も優しい。 彼女に対してもう愛情はなかったとしても、やり直したら案外うまくいくかもしれない、なんて考える気がする。 さて。 腹をくくるか。 まだ私たち始まったばかりでよかった。 湯気のたったカップを両手に一つずつ持って、居間に戻る。 真佑巳は所在なげにテーブルの上の梅しばの袋をいじっていた。 「はい。お待たせ」 「おう。サンキュ」 「……あと私が聞きたいのは、真佑巳がどう答えたのかだけだよ」 私はそう言ってコーヒーをすすった。 真佑巳もゆっくりコーヒーを飲んで、カップを置く。 「珠希とはもう戻らない」 硬い声で真佑巳は言った。 ──え? 嘘。 不謹慎にも、私は心の中でそうつぶやいた。 「あいつは誰でもいいんだ。 泣いてたけど、オレを思っての涙じゃない。 昔のオレならあんな涙見たらクラッときて、部屋に連れ込むなんてアホなことしてたかもしれないけどな」 「誰でもいいんだってどうして解るの?」 「あいつと別れた理由はな……あいつがオレの同僚に乗り換えたからだ」 「嘘ッ──」 今度は口からついて出た。 ──乗り換えるってなんだ? 車じゃなくてさ、人だよ、人!     
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