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──嘘!……珠希!?
とっさに真佑巳の部屋を見上げる。
まだ灯りはついている。
──どうしよう。
戻って真佑巳に話そうか。
でも……。
直接危害を加えられたわけじゃないし、珠希だっていう確証もない。
──なんで!? 私が何をしたっていうの?
つい数分前の幸せな気持ちが、一瞬で霧散してしまった。
代わりに、いいようのない不安に襲われる。
車は充分に温まり身体はもう寒いわけではなかったのに、細かい震えが止まらない。
──あ、もしかしたら!
唐突に思い出した。
シャワー中に聞こえた気がした真佑巳の声。
気のせいだと思っていたけれど──あのとき、珠希がドアの向こうに居たんじゃ?
ベッドに座っていた真佑巳の横顔があんなにこわばり、怒っているように見えたのは、珠希と何らかの争いをした直後だったからなんじゃ……?
疑い始めたらきりがなかった。
どんな考えも悪い方にしか向かわない。
私は心から真佑巳が好きで、真佑巳も同じ気持ちでいてくれて──それをやっと確かめあったばかりなのに。
どうすればいいのか解らない。
泣きたくなってきた。
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