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真佑巳は珠希と会ったりしてなかった。
『信じてくれ』という言葉は嘘じゃなかったんだ。
真佑巳を不安にさせたのも怒らせたのも、疑わせたのもすべて私が悪い。
私は真佑巳に掴まれている腕の力を抜き、もう片方の手を真佑巳の手に重ねた。
「本当にごめん。
ねぇ、私はどうしたら信じてもらえる?」
真佑巳は固い表情を崩そうとしない。
一度信用を失ったら、回復することは本当に難しい。
私はそれを身をもって知っている。
田浦を一生許せないと思う自分がいるから。
「私は真佑巳が好きだよ。
真佑巳のそばにいるときが一番嬉しい。本当だよ」
真佑巳の瞳を見つめ、誠意をこめてそう言った。
真佑巳も目を逸らさずにいてくれる。
『知らなくてもいいことまで話す必要はない』と真佑巳は言った。
だから、私も織人が好きでいてくれたことは言わない。けして。
「真佑巳は私が嫌いになった?」
「……」
不覚にも涙がこみあげてきてしまう。
自分の発した『嫌いになった?』という言葉が思いがけず悲しくて切なくて。
──泣くな、馬鹿陽!
「真佑巳……なんか言ってよ!」
真佑巳の腕を解いて、両手で掴んでゆさぶった。
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