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──私だって、同じだよ。
すごく好きになって、好きがこうじていつしか真佑巳に依存するようになって……。
悩んだり不安になったり疑ったり、わがままになったりするのが嫌だから、私は心許してないふりをするんだ。
珠希のように直情型で、自分の想いに嘘をつかない女を羨ましいと思う。
でも私は臆病だから──傷つくのが格好悪いって思っちゃうから、不器用な愛情表現しかできないんだ。
そのせいで真佑巳を不安にさせてしまった。
あんなに明るくて前向きで、悩みを悩みとも思わないような真佑巳を惑わせてしまった。
──本当にごめん。
私は真佑巳の背中を強く抱きしめた。
お互いの鼓動を確かめあうように、しばらくそのままでいた。
やがて真佑巳は身体を離して、私の片頬に手のひらをあてた。
「嬉しかったよ。
オレのそばにいるときが一番嬉しいって言ってくれて」
「……」
耳たぶが熱を帯びて膨らんだ。
「……アキラを信じるよ」
「本当に?」
「あぁ。
オレもアキラとこうしているときが一番嬉しいから」
真佑巳が目を細めて微笑んだ。
とても温かな表情に、私の胸もほんのりと温かくなる。
「……ありがと」
真佑巳の顔がゆっくりと近づいてきて、私は心臓をどきどきいわせながら目を閉じる。
そして、優しく短いキスをした。
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