‡ 優しさと嘘 ‡

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  まだまだこういう状況に慣れなくて、私はすぐに顔を逸らしてしまう。 恥ずかしいのだ。 たまらなく。 真佑巳は端正なキレイな顔立ちをしてる。 でも私は……至って普通で。 私が真佑巳を見つめるように、真佑巳も私をこんな至近距離から見つめてるんだって思ったら、普通過ぎる自分に劣等感すら覚える。 前に、ちょっと自分の容姿に自信がないってことを真佑巳に匂わせたら、『それは彼氏のオレに対して失礼だろ? アキラはオレが惚れた女だ。自信持て』と背中をどつかれた。 だから、もう二度と言うつもりはないが……。 『容姿がイケてる人種って、キスに自己陶酔できていいよね』なんて皮肉を独りごちてみたくなる。 「可愛いやつ」 真佑巳に顎を掴まれて、強引にもう一度キスされた。 「ぶっ──やめてよ! 唇がめくれる」 「あはは! いいじゃん、ドナルドダックみたいで。ぐわっ」 真佑巳は私の唇をアヒル口にして爆笑している。 「うぶさい。やめぼ」 アヒル口のまま訴えたら、さらに真佑巳の爆笑に拍車をかけてしまった。 ひとしきり笑ったあと、真佑巳は急に真面目な顔をして、私に顔を寄せてきた。 「何? 私の唇をおもちゃにした詫びがしたいのか?」  
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