‡ 優しさと嘘 ‡

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  「あ──あ、じゃあさ、シャワー使わせて。 やっぱり、ちゃんとキレイにしてからその……」 ──初めてだから。 大好きな真佑巳とするんだから。 「わかった。いいよ」 「もったいぶってるわけじゃないからね──」 「バカ。わかってるって。待ってるから。 あ、新しいバスタオル出すか?」 真佑巳が腰を浮かせる。 「平気。真佑巳の借りる」 「おう。行ってこい」 バスルームに駆け込んだ私は、そそくさと服を脱ぎ、シャワーを全開にして身体を濡らした。 ──あ! 髪……。 焦っていて、髪が濡れることなんか頭になかった。 仕方ない。 シャワーを緩めて、首周りはそろそろと濡らす。 ボディソープは手のひらで泡立てて身体を洗った。 なかば夢心地。 でも、心臓は相変わらず喉から飛び出しそうなほどドクドクいってる。 みんな初めてのときって、こんな吐きそうなほど緊張するの? 『好きな人』と繋がるってことは、それほど特別なことなんだ……。 ──ん? 真佑巳の声が聞こえた気がする。 シャワーを止めて耳をすました。 ──気のせいか。 再びシャワーのコックをひねり、泡だらけの身体を綺麗に洗い流した。  
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