‡ 優しさと嘘 ‡

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  「すぐに作るね。 真佑巳、お風呂は入った?」 私は狭い作業台に置いたスーパーの袋から、材料を取り出しながら聞いた。 真佑巳が脇から覗き込む。 「いや、まだ。 デザートはないの?」 「あ、予算内でプリン買った」 「さすが!」 甘いものを見せると、真佑巳は幼児に還る。 この無防備な笑顔を見られるのが、私だけの特権だったらかなり嬉しい。 「カレー、時間かかるからさ。お風呂入っちゃえば?」  「そうだな。そうすっか。 あ、飯は炊いてあるから」 「ほんと? ありがと」 「じゃあ、入ってくる。 愛情こめてよろしく」 真佑巳は、私の頭をぽんと叩いた。 私は真佑巳の形のいいお尻を叩き返す。 すると、またいい顔をして真佑巳が笑うのだ。 真佑巳が浴室に入るのを見届けて、カレー作りを開始する。 といっても、肉とカレー用にカットされたパック野菜を炒めて煮込むだけ。 ガスコンロの上には鍋、その隣にはサラダ油がスタンバっている。 「さすが真佑巳。几帳面」 カレーを仕込んで簡単な生野菜サラダを作ると、手持ち無沙汰になってしまった。    まだ真佑巳がシャワーを使う音が聞こえている。  
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