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風呂上がりで、洗い髪をタオルで拭いただけの真佑巳は妙に色っぽかった。
すごくどきどきする。
シャンプーのいい香りを漂わせながら、真佑巳はキッチンからカレーを運んでくれた。
──せっかくのいい匂いがカレー臭くなっちゃうな。
なんて思いながら、サラダの器を手に真佑巳の後に続く。
「いただきます」と一緒に手を合わせる。
カレーをひとくち頬張った真佑巳は、「うめぇ」と至福の笑みで言ってくれた。
「よかった」
私がそう応え、その後は二人ともひたすら無言で食べ続けた。
かちゃかちゃとスプーンと器が触れ合う音が響く。
少しずつカレーの味がぼやけてくる。
いやな緊張感に包まれていく。
食べ終われば、どちらかが切り出さなければならない。
真佑巳もそのつもりで、今夜私を誘ったのだろうから。
私が『職場の友達と食事する』と嘘をついて織人に逢ったことがすべての発端なのだから、やはり私が切り出すべきなんだろう。
食事が済むとすぐに後片付けを始めた私を、真佑巳は何も言わず手伝ってくれた。
真佑巳の顔も少し強ばって見えた。
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