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「大丈夫……だよ」
病院、大嫌い。行きたくない。
でも、やせ我慢が通用しないほど痛い。
「駄目だ。連れていく。
頭は打ってないんだな?
ゆっくり……起きられるか?」
「う……ん」
真佑巳は私の脇腹にそーっと腕を滑り込ませて、ゆっくりと起こしてくれる。
──あぁ。真佑巳の匂い。
少しだけ痛みが遠退いた気がする。
「速攻病院連絡しないと。
ちょっと待っててな。携帯と車の鍵取ってくる」
「……解った」
壁に私を寄り掛からせて、真佑巳は階段を駆け上がって行く。
身体中が痛む気がしていたけど落ち着いてくると、激しく痛むのは足首と腰骨の辺りだと解る。
そして何よりも……心が痛い。
どうしてこんなことになるんだろう?
──私が何をしたっていうの?
そうだ。直子を呼んで事情を話さないと。
『はい。
……はい。お願いします。今から行きます。
15分くらいで。はい。よろしく──』
真佑巳が病院に電話しながら駆け降りてきた。
「ごめん!
辛かったか?
連絡ついたから行こう。
どこが一番痛む?」
真佑巳が屈みこんで聞いてくれる。
私はちょっと意地悪く、真佑巳の左胸を叩いた。
心が痛いよ、と。
「……ごめん」
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