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私は、「重いのにごめん……」と真佑巳の胸に身体をあずけたけれど……。
心臓が皮膚を突き破って飛び出しそうなほど、ドクドクと激しく脈打っていた。
痛む場所もすべてが熱を持って脈打つ。
そして、真佑巳の心臓の鼓動もとても速かった。
本当は、珠希の言葉の真意をこの場で真佑巳に確かめたかったけど……。
遅れれば病院に迷惑かけるし、これ以上身体以外で痛い思いをするのは耐えられない気がした。
──私と別れたら、珠希と付き合う……。
真佑巳が約束した……?
珠希は、真佑巳に抱きかかえられた私を燃えるような瞳で睨んでいた。
──いやだ。
やだよ……。
こんな思いをするために、真佑巳を好きになったんじゃない。
私は珠希の視線に耐えられず、きつく目をつぶって真佑巳の胸に強く顔を押しつける。
「直子さん、ごめん。
家で待ってて。
何時になるか解らないけどアキラを送り届けるから。
珠希……」
真佑巳が珠希の名前を呼ぶたびに、痛む場所が心臓になったように鼓動を刻む。
辛くて目が開けられなかった。
「もう、関わらないでくれ。頼む……」
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