10人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
真佑巳の視線が落ち着きなく泳ぐ。
いつもの自信に満ちあふれた力強い瞳は見る影もない。
──そんな目で見ないでよ。
まるで私が悪者じゃない……。
責めたいわけじゃないのに、気づけば堰をきったように言葉があふれだしていた。
「オレのせい? なんで!?
真佑巳、私に何をしたの!?」
感情が先走った私は、強い力で真佑巳の腕を引っ張る。
真佑巳はされるがままに、力なく身体を揺らした。
「彼女が言ったことは本当?
私と別れたら付き合うって約束……したの? 真佑巳。
彼女とは二度と関わらないって言ったよね?
彼女とは会ってないし電話もしてない。信じてくれって。
ドア越しに、彼女が一方的に私が男と逢ってるって叫んだんだって。
じゃあ……彼女が嘘を言ってるの?
私、そうは思えない。
彼女がそんな嘘つく理由がないから。
真佑巳が彼女をつなぎ留めるような何かをしたから、あきらめないんだよ。
違う!?
真佑巳、織人のことで私を責めたよね。本当のこと言えって。
真佑巳はどうなの?
本当のこと言ってる!?
真佑巳が彼女に復縁の約束なんかしたから『浮気女、最低』とか『消えて』とか──私はいわれのない嫌がらせされたんじゃないのっ?」
最初のコメントを投稿しよう!