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昨夜は結局真佑巳とは何も話をせず、直子の車で帰ってきた。
直子には車内ですべてを話してしまった。
『気持ちが落ち着いたら、もう一度ゆっくり話を聞かせてよ。
今夜はとにかく寝よう』
直子は私が憔悴しきっているのを心配して、そう優しく言ってくれた。
今朝も直子の車で一緒に出勤して、帰りも直子を待って、真佑巳のアパートまで乗せていってもらった。
昨夜のうちに、リアガラスは直子が綺麗に拭いてくれた。
証拠として残しておいた方がいいかもしれないと思ったけど、『消えて』という文字を張りつけた車に乗る勇気は出なかった。
どちらにしろ、証拠にもならなかっただろう。
珠希が『わたしがやった』と認めるわけはないし。
「私があいだに入るからさ、真佑巳くんと話し合おうよ」
夕飯をとりながら、直子が言った。
「……はなし……?」
「うん。
こんなこと言ったら、アキラ怒るかもしれないけどさ。
……アキラは本当に、真佑巳くんと珠希は接触してないと思う?」
「……」
速答できなかった。
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