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「珠希さ……。
真佑巳くんから乗り換えた彼氏が最低だったらしいんだよね」
直子が梅しばを含んだまま、もごもごとつぶやいた。
「……そんな話、したんだ?」
「うん。
珠希がなんであんなに真佑巳くんに執着するのか知りたかったからさ。
半ば脅したのよ。
話さなかったら警察行くって」
「直子ぉ……」
私は親友の顔をぽかんと眺める。
「だってさ、アキラは絶対問い詰めたりしないでしょ?
逆に『私が別れればいいんだ』なんて言いだしそうだもん。違う?」
「言わないよ。そんな簡単だったら落ち込まないし」
「この先の話だよ。
珠希、簡単に真佑巳くんのことあきらめそうもないからさ。
……その彼氏っていうのがね、異常に束縛激しくて別れたんだって。
最初は、その彼氏がメールや電話がホントにまめで、珠希の予定やら行動やらを把握したがることがすごく嬉しかったらしいんだ。
自分を強く想ってくれているからだって。
真佑巳くんにはメールや電話が面倒だって言われて、いつも淋しい思いさせられてたから、よけいに喜び感じたんだろうね。
『いつも珠希のことだけ考えてる』なんて甘い言葉まで囁かれちゃって」
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