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そう。真佑巳はメールは苦手だって言ってた。
でも、充分優しいと思う。
異性に対する価値観って人それぞれホント違うんだな。
私もそんなにメールや電話は重要視しない。
だから真佑巳も私も淋しいとは感じないんだろう。
そりゃ遠距離恋愛だったら、連絡取れなかったら不安になるかもしれないけど。
近くにいるからこそ逆に、ベタベタにならずプライベートも大切にしたいって思う。
やっぱり私って、女らしくないのかもしれない。
でも、真佑巳のことはすごく好きだ。
真佑巳の辛い顔は見たくない。
珠希が現れる前に見せてくれていた、屈託のない真佑巳の笑顔を見たい。
自然体で真佑巳を好きでいたいんだ……。
「彼氏がエスカレートしちゃったんだ?」
私はそう聞いて、コーヒーを飲み干した。
直子が二つのカップを手に立ち上がってキッチンに行き、缶ビールを手に戻ってきた。
「うん。まぁストーカーだね。
よくあるパターンだよ」
プルを起こし、ぐいっと豪快にあおって「飲む?」と私に差し出す。
怪我のことを考えて、一口だけもらった。
「ちょっとでもメール返すの遅れたり電話に出られなかったら、『何やってたんだ!?男か!?』って怒鳴る。
メールはあっという間に何十件と溜まる。
電話は鳴りっ放し。
彼氏は心配なんだ、愛情なんだと言って追いかけ回すようになる。
珠希は耐えられなくなって逃げ出した。
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