‡ 女友達 ‡

6/14

10人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
  結果、真佑巳くんくらいの愛情が一番心地いいんだと気付いた……ってとこかな」 直子が自分の台詞に満足したというように、うんうんとうなずく。 「なるほど。 一応、真佑巳に戻りたいっていうちゃんとした理由があったんだ」 私はいつもの悪い癖で、他人事のようにつぶやいた。 本心は、『そんな身勝手、好き勝手が通るなら、本気で人を好きになるって行為が成り立たなくなるだろう』──だったけど。 「確かに、別れてから気付くことあるよね。 珠希の場合は乗り換えた男が最悪だったから、真佑巳くんのいいところばかりを思い出したんだろうな。 珠希がアキラにしたことは最低の行為だよ。 絶対謝らせる。 でも……珠希の必死さも解る気がするんだよ。 ほら、アキラが織人くんと逢ってるところを見ちゃったでしょ? あれが引き金になったんだと思う。 真佑巳くんって彼氏がいるのに、他の男と──。 だったら私が奪い返すってね。 真佑巳くん、ホントにいい人じゃん。 約束のことだって真佑巳くんにしてみれば、アキラとは別れるつもりないんだからさ。 珠希を帰すためのその場しのぎの約束──ってことだったんだと思うよ。 そのうち珠希があきらめるだろうって」 「……うん」 「ごめん! 珠希や真佑巳くんの味方してるわけじゃないんだよ?」 直子は私の抑揚のない返事を敏感に感じ取って、声を明るくして言った。  
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加