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だからね。
繁ちゃんに親に会ってって言われたとき、『喜んで』って即答したんだ。
お父さんもお母さんも、さすが繁ちゃんを育てた親だって納得できる、笑い皺の素敵なご両親だったよ。
緊張で固まってる私を気遣ってくれてね。
『繁規がようやくいい人を連れてきてくれた。安心した』って喜んでくれた。
温かさが伝わってくるんだぁ。
気が付いたら泣いててさ。
私の涙、想像できないっしょ?」
「うん」
頬杖をついて聞いていたら、いきなり話をふられ、条件反射でうなずいてしまった。
「このっ」
直子に頭をぺしっと勢いよくしばかれる。
「いてっ──」
「あはは。
そのうち、ここにキラキラしたやつ付けてくるからさ」
直子は左手を目の前にかざし、薬指を器用に動かしてにやりと笑う。
「マジで?
そんなとこまで話進んでるんだ?」
「うん。
うちの親にも挨拶済み」
「いつのまに!?
すごい、直子。嫁に行くんだぁ」
私はいきなり降って湧いた親友のめでたい話に、自分の悩みなど忘れ胸をときめかせた。
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