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──私の中の、真佑巳の存在の大きさ……。
「こんなこと言ったらアキラを惑わせるだけだと思ったから黙ってたけど……。
織人くんのこと。
簡単に終わりにしちゃってよかったの?
この前、織人くんとアキラが向かい合ってたとき、すごい温かい空気が私のところまで流れてきたんだよね」
「え……?」
「穏やかでやわらかぁな空気。
アキラ、さっき言ったよね。
別れたときと全然変わってない優しい織人くんが懐かしくて嬉しかったって。
ただそれだけの想いだけで泣いたりしたの?
珠希が二人の仲を疑うほど取り乱したの?
本当は後悔があったんじゃない?
織人くんとの約束を守ればよかった。
信じて待っていれば、こんな優しい織人くんが私の彼氏だったんだ……って、一瞬かもしれないけど考えたんじゃない?
10年も想いを貫ける男なんていないよ?
ましてや遠く離れてるし、相手が約束を守って待っててくれる保証もないんだからさ。
馬鹿正直な男って言えば、それまでかもしれない。
でも女にしたらこんな幸せなことないよ。違う?」
「……」
「アキラ……?」
「聞いてる」
直子の話を聞いているうちに、私はどんどん深くうなだれていった。
直子にあのときの私の思いを、見事に言い当てられたから。
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