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そう言いながら、直子は納得いかないみたいだった。
「真佑巳と珠希……直接会って話してるかもしれないって思う?」
私は恐る恐る聞いた。
「わたしはそう思っちゃうんだなぁ……。
真佑巳くんってなんだかんだ言って優しいじゃん?
泣き落としに負けちゃうんじゃないかな、ってさ」
確かに。
ドアが開くのと開かないのとでは、天地の差がある。
珠希が執着し続けるのは望みがあるからで……。
その望みって、真佑巳がドアを開けたということじゃないんだろうか?
「ま、彼氏を信じなきゃね!」
直子はわざと明るく言った。
その取って付けたような言い方は、私をよけいに不安にした。
「とにかく、話そ。ね?
大丈夫? アキラ」
「大丈夫じゃないよ。
だって、ホントなら抱えなくていい不安だよ?
正直こっちが『消えろ!』って言ってやりたい」
「あははは。そうだ! 言ってやれ!
ほら、肉あげる。
スタミナ付けて闘わないと」
「じゃあ、遠慮なく」
二人で同時に焼肉のたれで炒めた牛肉を頬張った。
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