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──闘う、か……。
なんかすごく理不尽。
「『信じる』って言葉にするのは簡単さ。
でも相手を信じ抜くって大変なことだよ。
特に、アキラにとったらね。
アキラが珠希と真佑巳くんのこと、ちょっとでも不安に思ってるうちは、真佑巳くんを心から好きって思えないんじゃない?
だからさ。
好きな人を疑うのは辛いことだけど、やっぱりちゃんと真佑巳くんに話そう。
不安だってこと。
で、聞こう。珠希のことどうするつもりなのかってこと。ね?」
直子は食べ終わった食器を片付けながら、念を押すように言った。
「そうだね。ありがと。
私、駄目だな……。
ただビビッてるだけだ」
私も立ち上がり、一緒に片付けを始める。
「へこむな。
わたしだって当事者になれば、きっとアキラと一緒だよ。
どうすればいいか冷静に判断なんてできない。
言い方悪いけど、ひとごとだから色々考えてあげられるんだよ。
早い方がいい。
真佑巳くんに連絡しなよ」
「うん……」
「洗いものはわたしがしておくから」
「ありがと」
流しに立つ直子の傍らで、私は真佑巳に電話をした。
率直に、『珠希のことで話がしたいから時間を作って』と言うと、真佑巳は少し躊躇したあと『解った。週末に部屋にきて』と言ってくれた。
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