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どうしてこんなに泣けるんだろう?
寒さも手伝ってぶるぶると震えながら、駐車場の隅っこで泣き続けた。
真佑巳の冷たい口調。
突き放すような笑い声。
好きになった人の、情のない声を聞くことはこんなにも悲しいことなんだ……。
「……真佑巳ぃ……」
無意識に、嗚咽と一緒にこぼれ出る名前。
真佑巳の冷たい声と、別れたばかりの織人の無表情が重なって、切なさはどんどんどんどん強くなる。
心配してくれた織人にまで、あんな顔をさせてしまった。
考え過ぎて墓穴掘ってばかりだ。
────バカ陽。
「あきら…………」
「────」
突然声をかけられ、肩をびくりと震わせて顔をあげた。
目の前に、タクシーに乗って帰ったはずの織人が立っていた。
「……なんでいるの?」
私の問いに、織人はくすっと笑う。
「幸せな陽がなんでこんなところで泣いてるの?」
「…………」
「陽は嘘をつくのがへたくそだ」
私は涙を拭うのも忘れて、織人を凝視した。
「それに変に頑固。
こうでもしなきゃ、陽は俺にずっとへたな嘘をつき通す」
織人は右手を私の目の前に差し出す。
「風邪ひく。立って」
「…………」
「ほら」
強引に腕を引かれた。
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