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「珠希はどうしたんだろうね」
コーヒーのおかわりをテーブルに置きながら、直子が言った。
いきなり珠希の名前を出されて、心臓がいやな動悸を刻む。
「……ありがと。
どうしたんだろうって？」
動揺を隠せないまま、カップに手を伸ばした。
「いや、あれから真佑巳くんと接触してないのかなって思ってさ。
もしかしたら、真佑巳くんと珠希がより戻したんじゃないかなって……」
思わず、カップを引き寄せる手が止まった。
直子は織人の前にもカップを置くと、コタツに入って湯気のたったコーヒーを口に含む。
「アキラは真佑巳くんは絶対そんなことしないって言うだろうけどさ。
こればかりは解らないよ？
人の気持ちほど変わりやすいものないんだから。
あ、織人くんは例外ね」
織人は律儀にちょこっと頭をさげる。
私は、半ば直子を睨んでいた。
もちろん直子はこれっぽっちも動じない。
「アキラと別れた途端、変わり身素早く珠希とくっついたことが後ろめたくて、先回りして、アキラに嫌われようと電話してきたんじゃないの？
アキラに未練たらたらでいられると何かと都合悪いからさ。
どう思う？」
「…………」
「織人くんどう？」
「ちょっと！
なんで織人にふる？」
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