‡ どうして──? ‡

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   「まだ、好きなんだろう? 投げ遣りになっちゃ駄目だ」 織人は年の離れた妹を諭すように言った。  「好きなんだろう?」 私はゆっくりとうなずく。 織人は口角を緩め、「だったら……」と、テーブルの上で手を組んだ。 「確かめよう。 ちゃんと相手と向かい合って、どうしてそんな電話をしてきたのか本心を聞くんだ。 何か他に理由があるのかもしれない。 それから、今も好きなんだってこと。けして相手が嫌になって別れると言ったんじゃないってことも伝えたほうがいい。 今、すべてをあいまいにしたら必ず後悔する。 たとえ、結果が直子さんの言ったとおりだったとしても、真実が解らず悩むよりはきっと楽になれる。 陽が前に進むために、少しでも早く連絡をとろう。 陽が動かなかったら、事態は変わらないんだ」 私は、じっとチロルチョコに視点を結んで織人の話を聞いていた。 真佑巳との幸せだった時間が、鮮やかな映像となって脳裏にあとからあとから浮かんできて、自然に涙がこぼれていた。 ──あいまいにしたら必ず後悔する。 そうだ。 自分が好きになった人を信じなければ、信じて行動を起こさなければ、私はこの先も何も変わらない。後向きな人間のままだ。 「ありがと……」 私は織人に深く頭をさげた。      
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