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「ちゃんと確かめる。
ホントにありがとう」
「……なんかごめんな。
陽と相手のこと、何も知らないのに偉そうに言って」
「またぁ。すぐ謝る。
……嬉しいよ。
織人に言ってもらえなかったら、一人で悶々と悩んで自滅してたと思う」
「そっか。それならよかった。安心したよ」
「うん」
ふと見ると、直子は頬杖をついて再びにやにや笑いをしていた。
「なんなの?」
「いやいや」と言いながら身体を起こした直子は、こう続けた。
「アキラは幸せ者だよ。
こんな器のデカイ男に思われてさ。
普通、『そんな男は忘れてオレのところへ来い!』とかなんとか言って、傷心のアキラをうまいことモノにしようとするんじゃない?
それって自分が一番おいしい思いするってことでしょ。
織人くんはアキラのことを一番に思って、真佑巳くんと会うようにってアドバイスしてくれてるんだよ?
こんな男いないよー。
とっとと白黒付けて、すべてをリセットして、早く織人くんとつきあいな」
「直子!」
直子は『シシシ』と笑ってコタツから身を伸ばすと、織人の手をとってぶんぶんと振った。
「織人くん。ずっとアキラのそばにいてやってね。
ただし、アキラよりいい女に出会ってしまった時にはその限りではない。
遠慮なくアキラを突き放していいから」
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