‡ どうして──? ‡

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──今のは、本当に真佑巳? 知らない他人じゃないの? 足元から悪寒がはい上がってきた。 『アキラにも男がいたんだな。って珠希はオレの女じゃないけど』 ──どうしてあんなこと……? 立っていられずにその場にしゃがみこんだ。 小さな駅のロータリーには人影もまばらで、私に気をとられる人もいない。 律儀な織人は、背中を向けたまま振り向かない。 『目の前でアキラと男が抱き合ってるところを本当に見ていたとしても、アキラを信じる』 真佑巳の言葉が脳裏をよぎる。 真佑巳の真意を知りたい。 自分から切り出した『さよなら』だとしても、こんな形で終わるのは嫌だ。 真佑巳に誤解されたまま『さよなら』なんて。 まだ心はこんなに痛いのに。 真佑巳を好きだって想いは何も変わっていないのに。 私は座り込んだまま、携帯を開く。 ──お願い、出て。 電話はつながらなかった。 電源を切ったんだ……。 『どうして?』という思いだけがぐるぐる、ぐるぐる渦巻いている。 「あの……どうしたんですか? 大丈夫ですか?」 背後から顔をかけられて、びくりと肩が震えた。  
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