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『真佑巳、開けてよ!
出てきてよっ!
友達って誰!? 珠希なんじゃないのっ!?』
このドアを力任せに叩いて、何度も叩いて、大声をあげて、取り乱して──。
出てきた真佑巳に罵詈雑言を浴びせて、いっそ徹底的に嫌われてしまえば、真佑巳をあきらめられるのだろうか?
珠希ならきっとこんなことグチグチ考えず、最初から体当たりでぶつかるんだろうな。
私は行動を起こす前にその結果を恐れて、結局何もできずに後悔するんだ。
いつもいつも。
今、私が望むことは──。
珠希のようにがむしゃらに突っ走ることじゃない。
自ら壊すことじゃない。
私は珠希じゃない。
私には私のやり方があるはず。
私はドアから離れ、階段を降りた。
車に戻るとエンジンをかけた。
車内が暖まり、手のひらの緊張が解けるのを待って、携帯を開く。
身体は心の高ぶりに比例して、いつまでも細かい震えがとまらなかった。
深く長く呼吸をしながら、真佑巳へメールを打つ。
[真佑巳。
本当にこれで最後にするから、わがままを聞いて。
直接話がしたい。
このままじゃ、どうしても真佑巳を好きだって気持ちを捨てることができないんだ。
すごく苦しい。
私がこんな気持ちでいたら、真佑巳だって迷惑だよね?
だから、目の前で真佑巳の口から聞きたい]
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