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翌日は土曜日で、私は昼頃に布団から這い出した。
直子は、10時頃に迎えにきた渡部くんと買い物デートに出かけて行った。
洗濯でもしようかと思い立ち、外を眺めると、今にも雪が降りそうな鉛色の空が広がっていた。
「今日はいいか……」と独りごち、キッチンでコーヒーを入れる。
真佑巳からの連絡はなかった。
私からの着信を、真佑巳はどんな思いでやり過ごしているんだろう。
番号を変えないうちは、まだ望みを持ってもいいだろうか。
ゆっくりとコーヒーをすすり、テーブルの隅に置いた携帯を引き寄せる。
今日は真佑巳も休みのはず。
携帯を開き──迷う。
『相手と向かい合って本心を聞くんだ。
あいまいにしたら必ず後悔する。
陽が動かなかったら事態は変わらない』
織人の声が後押ししてくれた。
ごちゃこぢゃ悩む前に動いてしまえばいい。
私は変わりたいんだ。
携帯を耳に当てる。
すぐに留守電に切り替わった。
反射的に通話を切ってしまった。
留守電に残す言葉が浮かばなくて。
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