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『どうしてあんなこと言ったの?』
『ちゃんと話したいんだけど』
『珠希とやり直すの?』
どんな言葉を残しても、真佑巳から連絡してくるとは思えなかった。
夜になるまで何度かかけてみたが、留守電のままだった。
──直接会いに行くしかない。
そう決めて、デートから帰宅した直子に伝えた。
「そうだよ!
直接乗り込めばいいんだよ。
心細かったら、送って行ってあげる。
部屋に珠希居たりしてね。あはははは」
「直子。笑えない」
直子の鼻先に人差し指を突き付けると、肩をすくめて「ごめん」と言った。
「明日、会いに行ってくる。
会えるかどうかは運にまかせるしかないよね。
行くってメールしたら、絶対避けられるだろうし」
「わかった。
じゃあ、私は待機してるよ。
何かあったらすぐに連絡しな」
「あれ? 明日もデートじゃなかった?」
「んなもんキャンセルだよ!」
「駄目だよ。渡部くんに悪い──」
「いいんだって!
アキラが心配で、どうせデートどこじゃないんだから」
「……ありがと」
直子の気持ちが嬉しくて、本気で照れた。
「いやいや。
よし、じゃあ景気付けに飲むか!」
そう言って、直子は勢い良く立ち上がった。
「どっちにしろ飲むんでしょうが」
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