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「なんか簡単なツマミでも作る?
アキラ、どうせろくな夕飯食べてないんでしょ?」
「はい。図星です。手伝うよ」
笑いながらコタツから腰をあげると、携帯が鳴った。
おもしろいくらいに、身体がびくんと跳ね上がる。
「誰? 真佑巳くん?」
直子がキッチンから顔を覗かせる。
「……いや。家から。なんだろう」
真佑巳じゃないということに安堵する一方で、何かなければ連絡して来ない姉からの電話に『面倒だな──』と思いながら通話ボタンを押した。
「はい」
『あ、陽? あたし』
姉の輝(ひかり)のけだるそうな声。
「うん」
私は素っ気なく返事する。
『お正月に帰ってきた時、言うの忘れちゃってさぁ』
あれから4週間経って、ようやく思い出したってか?
「なに?」
『あたし結婚するから』
「は?」
『結婚するの。ホントは半年後くらいにするつもりだったんだけど……子供できちゃってー』
「はぁ」
まぁ、子供ができたってことには別に驚かない。
常に男がいないと駄目って人だったから。
『改まって式や披露宴はやらない代わりに、親しい人たちだけでパーティーするから。
彼がレストラン経営してるのね。だからお店貸し切ってそこで』
「へぇ。レストラン経営って……年離れてるんだ?」
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