‡ わすれもの ‡

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      直子に携帯を返し、「真佑巳が直子に……なんで?」と思ったままを口にする。 直子はバツが悪そうに赤い髪を掻いた。 「ごめん。 繁ちゃんに真佑巳くんのアドレス聞いて私からメールしたんだよ」 「…………」 「怒った?」 「いや。 状況が把握できてない」 私は直子の手の中にある携帯を見つめながら、真佑巳からのメールを反芻した。 ──誰にも遠慮するな。 ──自分に嘘をつくな。 「真佑巳くんの本音知りたくてさ。 アキラは後腐れなく別れられたって言ったけど、真佑巳くんはどうなのかなって。 珠希の怪我が治ったらまたアキラとやり直そうと思ってるのか、それともきっぱりアキラのことはあきらめて、珠希とよりを戻すのか。 織人くん応援団長の私としては、真佑巳くんと珠希に元サヤに納まってほしかったんだよね。 傷心のアキラに真佑巳くんたちの話はさせられない。 でも、どうにも気になって仕方なくてさ。 確認して、安心したかった。 アキラには黙ってるつもりだったんだ。 けど──この返事読んだら、どうしてもアキラに見せたくなっちゃって」     直子は携帯をコタツに置いて、とんとんと指先でたたいた。
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