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この1年。
真佑巳を思い出さない日はなかった。
直子が渡部くんの話をすれば、必然的に真佑巳の話も出てくる。
どうしているだろう。
珠希とつき合っているんだろうか。
それとも別の新しい彼女ができただろうか。
幸せでいてくれるならいいのだけれど。
そうして、珠希のことも考えた。
身体と心の傷は癒えただろうか。
元気を取り戻したろうか?
あの時は、挑むような眼差しを疎ましく感じていたけれど、珠希はそれくらい強気な女の子を貫いていてほしい。
そう願っていた。
私も真佑巳も披露宴が終わるまで、お互いの存在を意識しながら赤の他人を装って、近づくことはしなかった。
披露宴がお開きになり、参列者を見送るために会場の出口で待っている新郎新婦と、両家の両親に挨拶するために、私は長い列の最後尾に並んだ。
あいだに4人挟んだ前方に真佑巳の頭が見えた。
真佑巳は渡部くんと直子に固い握手をして肩を叩き、両家の両親に深々と頭を下げてロビーに向かって歩いていった。
──真佑巳……。いま幸せ?
私はその背中に問いかけた。
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