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「……来るけど」
「もったいぶってないで、さっさと一緒になっちゃいなよ」
「もったいぶってるって……。
なんで急かされなきゃなんないの?」
「のんびりしすぎなんだよ。
もう心配するの面倒だからさ、早く片付いちゃって私を安心させなさい!」
「あんたのために結婚したくない」
「はっ。言うねー。
誠実な男に思われてるからってアグラかいてるとー、痛い目にあうからね!」
一瞬、言葉につまる。
アグラをかいているつもりはないけれど、優しい織人に依存している感は否めない。
「……それは肝に命じておきます」
「よしよし」
花嫁に頭をがしがし撫でられた。
直子には、どんなに感謝しても足りないくらい支えになってもらってきた。
口は悪いが今もこうして私のことを思いやってくれている。
「直子に心配はかけない。
結婚は今すぐには約束できないけど、織人はずっと大切にしていくから安心して」
「うんっ」
直子の声が震える。
「……直子?」
直子の頬をつたう涙に狼狽えた。
彼女の泣き顔を見たことがなかったから。
「どうして泣くのぉ?」
私まで泣きたくなって、思わず直子の肩に手を置いた。
「嬉しいんだよぉ。
だって、アキラと織人くんに一緒になってほしいってずっと思ってたんだからさぁ。
アキラの口から織人くんをずっと大切にするって聞けて、ホントに嬉しくてさぁ」
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