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「私より真佑巳の方が先に結婚するんじゃないの?」
「あ? 誰と?」
「もう。やめて、白々しいから」
「は?」
真佑巳は器用に片眉を上げて、「やめてってなんだよ」と邪険に言った。
「怒ることないじゃない。
珠希さんとつき合ってるなら、いずれ結婚するだろうと思って言ったんだよ?」
「誰がつき合ってるって言った?」
今度は私が「は?」と聞く番だった。
「だって、珠希さんが迎えに来てるって──」
「あいつが迎えにきた男は隣にいるだろが」
「………」
真佑巳が親指を立てて示す方向をもう一度振り返った。
「あ……」
珠希の左隣に佐藤一弥がいた。
珠希の陰に隠れて、さっきは解らなかったんだ。
私が頭を戻すと真佑巳はニッと笑い、「そういうこと」と得意気にカウンターテーブルに頬杖をついた。
私の勘違いを解っていて面白がっていたらしい。
まったくこいつは。
「珠希さんと佐藤さん……だっけ? つき合ってるんだ」
「あぁ。半年前くらいかな。
くっついた。
佐藤言ってたぞ。アキラのおかげだって。
あいつに喝入れたんだろ?」
「いや。そんなつもりじゃ」
「結果オーライ。
アキラも珠希の顔見たら解るよ。
すごく穏やかになった。
佐藤がそうさせてるんだ。
あいつらお似合いだよ」
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