‡ かけがえのないもの ‡

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      ────  『ずるいな。オレ罪悪感でいっぱいなんだけど』 『じゃあ、その罪悪感吹き飛ばすために、あなたも珠希さんにぶつかってください』 きょとんとした佐藤一弥の顔。 『ごめん! ありがとう!』の声を憶えている。 そうか……。 頑張ったんだ。 よかった。 珠希も幸せなんだね。 ホントよかった。 よかったけれど……。 私は遠慮がちに真佑巳の横顔に訊ねる。 「真佑巳。 さっき合コン三昧とか言ってたけど、ホントのところどうなの? その……恋愛してる、の?」 真佑巳はゆっくり首をこちらにめぐらせて、ふっと小さく笑った。 「アキラにそれを聞かれるのはキツいな」 「……ごめん」 「アキラよりいい女を見つけんの大変なんだぞ」 「また、そういう嫌味を言う。 真佑巳ほどの男なら、すぐ彼女できるに決まってる。 作る気ないだけじゃないの?」 「あーあ。 オレって可哀想」 真佑巳は不貞腐れたように椅子にふんぞり返る。 「何なの?」 「元カノに同情されてるー」 「あぁもう! めんどくさいなぁ。 じゃ、どう言えばいいの!?」 私は、真佑巳を真似て椅子にふんぞり返り腕を組んだ。 「お。言うねぇ、アキラ!」 がばっと身を起こした真佑巳の顔が、楽しそうに笑っている。    
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